SHOT IN THE DARK

吹き荒れる気流に巻き込まれない高度まで達すると、
大きく旋回をして姿勢をたてなおした。

粉塵と一体化した爆焔が眼下に拡がっていた。
自分の手のわずかなものを残して、
すべてが瓦礫として消えたことを知った。

低く響き渡る音に、ホバーリングしながら、まだ澄んだ上方の闇に目を移した。
船窓列の光と両舷灯の灯火が、濃黒の中にその船体を妖艶に浮き上がらせていた。
わずかに上空を何事もなかったかのように、低速で行き過ぎようとしている。

ニーグリップをしめなおして、狙いを定めた。

傷ひとつない生き方なんて存在しない。
まだ、それを伝えなくてはいけない相手がいる・・・

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